第20章

矢野純平は再び自分の体を彼の前に立ちはだかった。「ねえ、もう追うのはやめなよ。あの人は結婚してるんだから、法律で保護されてるんだ。お前はせいぜい不法な関係でしかないんだから、行っても無駄だよ」

上林弘人は明らかに水原遥がすでに結婚していたことに驚いた様子だった。

彼の目に意外な色が浮かんだが、すぐに表情が和らいだ。「それならいいか」

彼女の夫なら、きっと問題ないだろう。

植田真弥は水原遥を抱えてホールに戻り、スタッフに彼女のために清潔な服を探してくるよう頼んだ。彼女がずっとこの濡れた服を着ていては、症状が悪化するだけだった。

スタッフは衰弱しきった水原遥の様子に少し驚いた様子で、も...

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